sushiyの日記

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読書-フィリップボール「ヒトラーと物理学者たち――科学が国家に仕えるとき」

こちらの本を昨日読み終えました。

ヒトラーと物理学者たち――科学が国家に仕えるとき

ヒトラーと物理学者たち――科学が国家に仕えるとき

 

著者は科学雑誌Natureの編集者を20年ほど務めていたPhillip ball。現在もサイエンスライターとして、NatureやPNASなどの著名な学術誌に記事やレビューを執筆し続けているサイエンスライターです。ですが、この本はサイエンスについてもしっかりと書かれてはいるものの、主軸はナチス存在下の物理学者の行動とその理由を残された文献と証言から読み解こうとした歴史書でもあります。結論から言えば高いですが読むべき価値があると思います。一読した状態でこの記事を書いていますが、書いた後にもう一度読もうと思います。

舞台は1940年前後のドイツ

 1940年前後のドイツはナチスが台頭し、ユダヤ人への迫害が始まった時期でした。科学界においても例外ではなく、ユダヤ人の教授、准教授ポストは減らされていく状況でした。物理学においても、ユダヤ人物理学者が研究をすることができなくなり、次の職に関する保証もなく国外へ脱出するような状況でした。

ナチスに翻弄される物理学者たち

 この本で主に取り上げられるのはノーベル物理学賞受賞者である、マックス・プランク、ヴェルナー・ハイゼンベルクとピーター・デバイです。この三人はナチスに積極的に加担することはありませんでしたが、それぞれ自分たちの科学研究を守ることを中心に考え、行動します。例えば所長としての立場を守るために奔走する、ユダヤ人の迫害に対して反対の声を挙げないまでも、地位を利用してユダヤ人である同僚の地位を守る、戦争に使えるということを宣伝して核物理学に関する資金をナチスから獲得するetc...
 これらの行動の中には一見すると、ナチスに抵抗したと取れる行動もありますし、その逆に捉えられるような行動もあります。今までの書籍や論説はこの時代の科学者について、「ナチスに協力的だったか否か」という問いに対して白黒はっきりつけるために、都合の良い事実だけを切り取り、逆の部分は無理矢理に解釈を曲げることによって、○○はナチスに協力的/非協力的だったと断言するものが多くありました。
  しかし、このような混沌とした時代において、ナチスに対する姿勢について一貫性を持っていた人間はなかなかいません。この本では取り上げられている3人に対して、価値基準をナチスに置いていたのではなく、あくまで自分の科学においていたと結論づけます。なので自分の優秀な共同研究者であるユダヤ人の職を守るために働く一方、自由にできる研究ポストを守るためにナチスに取り入るような発言が飛び出します。このような科学者がナチスと妥協する中で、ナチスは逆に物理学者を利用し、原子爆弾に使える核物理学の研究を進めていくことができました(結果的には失敗しましたが)。

現代の科学に関する示唆と自分の考え

 このようなナチスに消極的に抵抗した結果、結果としてナチスに利用されてしまった物理学者たちの行動の中には、「科学は政治と無関係であり、真実を探求することが職務である」という考えがあると筆者は批判的に述べます。その真実の中には原子爆弾のように政治的に重要なカードとなりうるものも含まれていることを科学者は自覚するべきであるとも主張します。
 現代においてはさらにそのことを自覚する必要性は増しており、原子爆弾以外にも気候だったり再生医療だったり生物兵器だったりと政治的に有用な研究は増えています。ではこの数十年間で科学者の意識は変化したのか?という問いに対して明快に答えられる研究者はどれだけいるのか?という問いも投げかけます。
 私が大学の理工系学部で受けてきた教育には残念ながらこのような教育はありませんでした。実際、世の中の研究動向や政治動向なんて研究には直接役に立ちませんからね。ただ、世界的に政情が不安定な中、このようなことを今後も考えずに研究者として生きていくことは相当難しいのではないでしょうかとも思います。そしてどのように抵抗していくか、危ない政治への芽を摘み取るかということについても思いを馳せるべきなのかもしれません。このようなことについてはこの本をきっかけにまた別の本を読みながら思考を深めていきたいと思います。
 この本は、研究者や技術者にとっては自分の研究と社会、そして政治とのつながりを考え、どうあるべきかを再考させることのできる本であると思います。研究者や技術者でなくても、科学研究や科学者の危うさを理解する上で読んでおいて損は無いと思います。

Atcoder Beginner Contest 071

Atcoder Beginner Contest 071にpython 3.4で参戦しました。

http://abc071.contest.atcoder.jp/

 

 

A - Meal Delivery

絶対値の大小比較で終わり。abs関数を使えば楽。

 

B - Not Foung

やり方はわかるのだけど、どうあがいてもTLE。

 

C - Make a Rectangle

チラ見してちょいと書いたけどランタイムエラー起こしたのでスルー。解き方はなんとなくわかったの時間があったら解いてみる(たぶん)

 

D - Coloring Dominoes

設問のmodを見落としていたり、例外処理(N=1 N=2)を忘れたりで時間切れ。

 

次回は二問解けるようにがんばります。。。